シエスタ通信<Siesta Journal>は、SAVON de SIESTAより季節毎に発行している読み物です。毎号テーマに沿って、わたしたちが大切にしていることや、製品ができるまでの物語をご紹介しています。この冊子をウェブでもご覧いただけるようご用意しました。

※vol.3 号は2018年12月11日発行です。

北海道の素材に魅せられて

わたしたち『サボンデシエスタ』は手作り石鹸をはじめ、お肌やココロが喜び、毎日のくらしが楽しくなるような製品作りを心掛けています。ものづくりをする中で大切にしているのは、できるだけ北海道の素材を使い、産地のすばらしさもお伝えすること。ものづくりの視点で北海道をご紹介します。

北海道素材に込めた想い

 茨城県出身のわたしが、北海道に住むきっかけになったのは大学進学でした。6年のつもりでしたが、気がつけばもう20年以上も住んでいます。ここに住むと決めたのは、北海道の自然の豊かさに心奪われてしまったから。札幌を少し離れると広がる湖や森、ハーブ畑。都市と自然の距離感が心地よい大好きな場所です。

 小さな石鹸屋としてサボンデシエスタを創業した時から、肌に良いものを作ること、そして北海道の素晴らしさを伝えるものづくりをしたいという想いがあり、できるだけ北海道素材を原料として使っています。

 人気の定番アイテム『アズキ石鹸』には、茹でてつぶし、乾燥させた十勝産アズキの粉末を入れています。アズキの中に含まれるアズキサポニンは、お肌をきれいにしてくれる優れた素材です。フレグランスやバスソルトに使っている上富良野のラベンダー『濃紫』から採れた精油は、忙しい毎日にリラックスする時間をプレゼントしてくれる香りです。

 また北海道は生産者のみなさんも素晴らしい『想い』を持っていらっしゃいます。かつて和種ハッカの精油生産で栄えた北見には、ペパーミントなど西洋のミントにはない味わいがある和種薄荷の香りを復活させたいと、一度は途絶えた栽培を再開された方たちがいます。『雪肌石鹸』に配合している『酒粕』を作ってくださる小樽・田中酒造さんは、北海道産のお米だけを使うことにこだわりお酒を造られています。『札花蜜石鹸』に使うはちみつは、札幌の街中に美しい緑や花を増やし、みつばちが活き活きと暮らせる環境をつくりたいという養蜂家の方の想いがあります。素材の背景にある想いを知ると、私たちも身の引き締まる思いと共に、丁寧なものづくりをしていこうと思うのです。

 産地・作り手のみなさんの事を、ブログなどでもこれまでご紹介してきましたが、今回のシエスタ通信では、わたしたちがはじめて作り手の顔が見える素材として取り組ませていただいた下川町のことを中心にご紹介します。足を運ぶたび、心癒される素晴らしい場所です。石鹸に使う原料ができるまでのストーリーを感じて頂ければ嬉しいです。

北海道の空気を伝えたい

 2018年で創業十四年目。九月には大きな地震も経験し、「自然は当たり前のようにあるけれど、かけがえのないもの」とより強く感じました。また、北海道の良質な素材や人の魅力を伝え、未来へとつながるものづくりに真摯に取り組んでいかなければと思いを新たにしました。少しずつですが、実際に足を運び産地の空気を感じ、たくさんのお話を聞き、サボンデシエスタを通して、くらしにホッとできるアイテムをお届けできたらと願っています。

札幌から約240キロ。道北の森に囲まれた小さな町。東京23区とほぼ同じ大きさの町は、9割が森で覆われています。
満月の森を歩くムーンウォークや、精油蒸留体験など、暮らしとつながる森の生活も体験できます。

『 一本の樹木が成熟するまでにかかる年月は六十年。
だから、木を植えるということは、
自分のためではなく、次の世代の人のためなんですよ。』

 今から十数年前。北海道下川町役場に勤めるKさんからそう教えてもらった私にとって、『木を植える』ということが、とても素敵で特別なことのように思えました。そして「ぜひ来てください!」という言葉に背中を押されて、札幌から200キロ以上離れた道北・下川町を初めて訪れたのは二〇〇七年のことでした。

 下川を訪れて分かったのは、豊かな森の存在と、そこに暮らす人々が森と共にあるということ。木材加工場に行くと、小さな木片ひとつも落ちていないのに驚きました。大切に育てた木は、木材だけではく、おがくず・炭などに加工され、葉からは精油などを採って、すべて活用されていました。「山から届いたものはすべて使います」、誇らしげに語るKさんからは森が大好きな様子が伝わり、私たちもあたたかな気持ちになりました。

 下川の森づくりの取り組み、また人々と街の楽しさ(美味しいもの・個性豊かなお店)に魅了された私たちは、森から採れた原料を使った製品作りをスタートさせました。使っているのは、モミの木の芳香蒸留水・精油、炭、白樺の芳香蒸留水。それを、石鹸・シャンプー&リンス・ルームフレグランス等に配合しています。クリスマスに合わせて、フラワースタイリストの平井かずみさんをお招きして、モミのリースを作ったこともありました。

 また、原料を使うだけではなく、森づくりの少しでも力になれれば…と、寄付と植樹活動にも参加しています。二〇一八年五月、三年ぶりに植樹に行ってきました。植樹を行いながら眺める山々。「あの山は二〇〇〇年に植えた場所、こちらの山は60年経つから来年間伐する場所」など教えて頂きながら、過去と未来に想いを馳せるひとときでした。森づくりに参加できるのも、アイテムを愛用くださっている方がいるからこそ。ご利用くださっていらっしゃる皆様に感謝しています。これからもシエスタのものづくりを通して、長く森づくりに関わっていきたいと考えています。

お仕事の様子拝見!
『 北海道モミの精油』ができるまで

森林浴をするような心地よい北海道モミ(トドマツ)の香り。
実際にどんな風に精油が抽出されるのか、蒸留元の『フプの森』さんへ見学へ行ってきました!

【1】採取

●トドマツの間伐材から、葉をとりわけます。

 精油の蒸留は、季節問わず間伐が行われた時と必要な時に不定期に行われています。材木になる部分を取り除き、使うのは葉っぱだけ。それを専用のカゴに詰めていきます。ぎっしりと葉がつまったカゴは、想像以上の重さ!間伐の季節によって、微妙に香りが異なるそう。

●『間伐』とは?

 森林が密になりすぎることで木の成長が止まってしまうことを防ぐため、一部の木を切ることで行う管理方法です。健やかに木材が育つ森林には手入れが必要です。植樹から30年後、健全で豊かな森林になるように間伐を行います。

北海道下川町でモミの精油、白樺芳香蒸留水などを製造し、森からの恵みを活かした活動をされているフプの森さん。
代表の田邉真理恵さんは、モミの木に魅せられ、千歳から下川へ移住されました。お会いするたび、モミの木の素晴らしさを笑顔で語ってくださいます。『森とくらすライフスタイルを伝えること』を大切にしながらモノづくりを行なっています。


【2】蒸留

●トドマツの葉を蒸し、発生する水蒸気を冷やして集めます。

●オマケ:モミの木足湯

蒸しあがった葉っぱがまだ熱くて湯気が立ち上る間、足を入れると、体の芯からあたたまり額にじっとり汗ばんできます。そして、ホッと疲れが癒されて、本当に気持ち良いのです。蒸留を行う日だけのお楽しみです。


 直営店『Siesta Labo.』の半径4kmエリアにある、大通公園や北海道神宮、円山、藻岩山などの花々から集めたハチミツを使った『札花蜜』の石鹸。泡立ちの良さと、しっとりした使い心地はスタッフにも人気!札幌旅行のお土産としても喜ばれています。

 ハチミツの巣箱や採蜜の様子を見学させてもらった際には、ネットが付いた麦わら帽で防護したものの、手は素手のままでドキドキ。刺されなくてホッ(笑)。ぺろりと舐めると、やさしい味のハチミツでした。


 『雪肌石鹸』に配合している酒粕は、小樽の『田中酒造』さんのもの。『田中酒造』さんの『亀甲蔵(きっこうぐら)』は、北海道の冷涼な気候を活かして一年中仕込みを行っている全国的にも珍しい酒蔵だそうです。麹室や発酵する日本酒の様子などを無料で見学できます。観光にもおすすめで、地酒の試飲や酒まんじゅうが人気です。

 保湿、美白成分が豊富な酒粕。女性にはぜひ使っていただきたい石鹸です!それと日本酒好きの方にも(笑)


 千歳にある『今日はいい天気だFARM』の松島さんが我が子のように大切に育てているのは、肌を癒す効果もあるホーリーバジル。インドで数千年続く医療『アーユルヴェーダ』でも欠かすことのできないハーブです。

 ここでは無肥料無農薬で、その生命力を最大限に引き出す方法で栽培されており、松島さんが育てたホーリーバジルを、製品としてお客様にどうお届けできるか?収穫時期やその方法についても話し合いを重ねました。



2018年初夏から冬のはじめまで

文:ツケシバアヤコ

2018.5.20
早朝の下川町のビオトープを訪れました。やわらかな光に揺れる植物に心癒されました。
2018.6.2
新緑の美しい季節、千葉県の『にわのわアート&クラフトフェア』に出展しました。
2018.6.21
北海道の翼AIRDO就航20周年記念の機内販売品として、私たちのRoom Fragranceを選んでいただき、感激!
2018.7.1
久しぶりのお店でのライブ。tico moonさんの優しい調べにうっとりとした夜でした。また企画したいです。
2018.7.4
静岡県から後藤さんも来店した企画展『出張hal』。12月からコラボ石鹸とバスソルトが『hal』で販売されることに!
2018.9.11
カラーミーショップ大賞2018の地域賞を受賞いたしました。応援くださいました皆様、ありがとうございました!
2018.9.12
日本橋三越本店の『おへそ的、買い物のすすめ展』に出展しました。記念写真を撮るのがお決まりに!
2018.10.17
いつもお世話になっているデザイナーdrop aroundさんのオリジナル石鹸をつくらせていただきました。
2018.11.17
北欧、暮らしの道具店、佐藤店長を招いてのトークイベントを開催しました。とても楽しいひとときでした。

製品のお買い求めはオンランショップもしくは直営店Siesta Labo.をご利用ください。

はじめての方には『無料サンプル』をご用意しております。
※送料(200円)のみご負担ください。